4th AL「Miracle Girl」(1989)

奇跡は自分の中にある

圧倒的な作品に触れた時、あまりにもスゴすぎて笑いがこみあげてくることがあります。もう笑うしかないのです、スゴすぎて。そんな王道の中の王道が、この4枚目のスタジオアルバム『Miracle Girl』です。

前作のベストアルバムで制作陣がいったんキリをつけたということなのでしょうか。ここでのそれは、今までのアルバム3作品がまるで序章に過ぎなかったとばかりに、いきなりのネクスト・ステージに突入。そのレベルアップ具合が30とか50とか一気に上がってしまうくらい、それこそメタルキングを3匹同時に倒しちゃったくらいの上がり具合で、とにかく捨て曲なしのノンストップ39分、曲順もジャケットも申し分なし、そんなアルバムのタイトルに真理子さんの代名詞である "ミラクル・ガール" をつけたところが、まさに奇跡でしかありません。さらに代表曲である "ミラクル・ガール" が収録されていないというのもミソだったりします。入れなくて正解だったんです。入れちゃダメだったんです。作品がそれを証明しています。

そのレベルアップ具合に大きく貢献しているのが生音。特にシンセサイザーではなくピアノを導入したことがかなり重要で、"そよ風のチャンピオン" や "市場へ行こう" の跳ねたリズム・セッションであったり、"Bicycle Race" や "悲しまないで" のイントロ、言わずもがなの大名曲 "Keep On "Keeping On"" のバラードと、もう縦横無尽の大活躍を見せています。根岸さんのシンセサイザーもとどまるところを知らず、オープニングの "Time" で見せるスケール感、"Ready Steady Go!" の疾走感と、『Tobikkiri』の対流圏から成層圏オゾン層を突き破っていきそうな勢いを見せています。

そして、忘れてはいけません。永野椎菜さんです。挫折・孤独・不安、そんなネガティブな感情に苛まれて身動きができなくなってしまっている全ての人に、"50/50 (Fifty Fifty)" と "Keep On "Keeping On"" の2曲が、そっと寄り添うようにこう語りかけてきます。<明日を待ち続けるだけじゃ奇跡は起きない><大切なものは素直にならなきゃ探せはしない>。自分自身を見つめること、自分自身を大切にすること、その時に初めて奇跡が起きる。それを『Miracle Girl』と呼ぶのです。