9th BEST「my foot steps -20th anniversary memorial collection-」(2007)

紆余曲折の軌跡

デビュー20周年を記念してリリースされたベスト盤。1枚目はレーベルの枠を超えた真理子さん本人のセレクションによるオールタイムベスト。2枚目のDVDには'94年に放送されたNHK「BEST STAGE SELLECTION」と、'92年の横浜スタジアムLIVEが2曲、"かたちのないものが好き" と "あなたのそばにいて" のMVが収録されています。

これまでにも本人が携わっていたり、そうでなかったりのベスト盤がリリースされていましたが、ここでやっと本来のアニバーサリー作品がお目見えした感じです。楽曲自体も最新のリマスタリングが施され、各アルバムごとにバラバラだった音量も一定に調整されています。DVDも含めて永年仕様のアルバムなのですが、2011年にリリースされた『GOLDEN☆BEST ~Complete Singles Collection~』以降、こちらのアルバムは廃盤となっています。新旧のユーザー向けにも、ぜひ再発して欲しいカタログではありますが、モデルチェンジした35周年バージョンでもいいです。お願いします、ソニー・ミュージックさん。

なにはともあれ、ここに収録されている楽曲というのは、本当に真理子さんの核になるものばかりで、その絶妙なセレクト具合がたまらないものになっています。前田先生の "One Step Closer" から始まり、お父様への想いを綴った "ありがとうを言わせて..."、初の作詞作品 "Mariko"。ヒット曲の "ミラクル・ガール" に "ZUTTO" からの "White Communication-新しい絆-" と押さえるところは押さえる。ポップな "日曜日が足りない" に、ウェディング・ソング "my sweet days"、こちらは初の作詞作曲になる "暖かい雪"。シンガーとしての意思表示をしてみせた "うた" に、息子さんへの想いを綴った "boy"、時代の潮流に成す術がなくなってしまった "同じ時代"。それでもやっていけるぞと "Tobujikandesu" で跳ね上がって見せ、"ミエナイアシタ" で希望はそこにあると願う。そして、20年経った想いを綴った "あいのうた"。お分かりのように、それぞれの時代を3曲ずつで構成されていて、アーティストとしての成長と軌跡を流れるように味わうことができるのです。